ヨーロッパで今回、
いちばん深く心に残ったことの一つは、戦争の記憶を「過去の出来事」として閉じず、まちの中に残し続けていることでした。
ベルリンを歩いていると、歩道に、小さな真鍮のプレートが埋め込まれていることがあります。
そこには、かってナチスによる迫害を受けた人の名前、そして強制収容所へ送られたことや、命を奪われたことが刻まれています。

それは、歴史の中の大きな数字ではなく、一人ひとりに暮らしがあり、家族があり、名前があったことを、日常の道の上で思い出させるものでした。
ベルリンには、こうした記憶の場が特別な施設の中だけではなく、都市のあちこちにありました。
忘れないために、生活の中に残している。
それが、とても印象に残りました。
一方、アウシュビッツでは、収容所そのものが保存され、記念館・博物館として残されています。
そして、ベルリンのすぐ近くにはポツダムがあります。(私は行けませんでしたが。)
ポツダムは、第二次世界大戦末期の1945年7月、アメリカ・イギリス・ソ連の首脳が集まり、戦後の世界をどうつくるかを話し合った場所です。
会談ではドイツの戦後処理が協議され、日本に無条件降伏を求めるポツダム言も発表されました。

ベルリン、アウシュビッツ、ポツダム。
この3つの場所が近い距離にあることに、私は大きな意味を感じました。
形は違っても、共通しているのは、
「忘れないことは、未来への責任である」
という姿勢だと感じました。
戦争は、遠い過去の出来事ではありません。
人を一人の人間として見なくなること。
違いを理由に排除すること。
差別や憎しみを見過ごすこと。
そうしたことの先に、戦争や大きな暴力はあります。
だからこそ、平和とは、戦争がない状態だけではないと思います。
日常の中で互いを尊重すること。
歴史を学び、記憶を受け継ぐこと。
違いがあっても対話を続けること。
今回見たベルリンとアウシュビッツのまちは、平和は「願うもの」ではなく、
忘れずに、学び、守り続けるものだと教えてくれました。

